過日、永六輔さんと大橋巨泉さんがお亡くなりになり、お別れの会が執り行われました。
テレビでその様子を拝見していたのですが、各界の著名な方々が最後のご挨拶をされる中で、多くの方が「私もすぐにそちらに参ります」といった表現で挨拶をしている印象を受けました。
北野武さんも、大橋巨泉さんのお別れの会後のインタビューで次のように冗談交じりにおっしゃっていました。
「おいらも遠からずあっちに行くと思うんだけどさ、そしたらまた巨泉さんにゴルフを付き合わされるんだよ、嫌だなぁ（笑）」。（意訳）
お別れの会という場の特質上、故人があの世から見守ってくれている、という雰囲気が漂っていたこともありますが、それにしても皆さん、あの世の存在、つまり死後の世界に対して、肯定的な気分を持っておられるのかな？と感じた次第です。
先日、増田にこんな記事がありました。
簡単に言ってしまえば、「人が死んだら燃やしてしまうだけ」という話なのですが、少し感じるところがありました。
生ゴミのように扱われるのはさすがに気が引けますが、どうせ焼かれるのであれば、できることなら臓器を提供して、困っている人たちの役に立ちたいという思いがあります。
臓器提供に関しては、以前から提供の意思を事前に示しておくべきではないかと考えていました。
しかし、ずっと考えながらも行動に移せていないのは、恐怖心があるからです。
その恐怖とは、以下の2点です。
1. 例えば、眼球を提供すると、死後の世界で目が見えなくなるのではないか？
2. 脳死と判定されても、実は意識は存在していて、臓器摘出の際に激しい痛みを感じるのではないか？
ちなみに私自身の立場を表明しておくと、死後の世界や輪廻転生を信じています。
意識の本質は脳が作り出したものではなく、魂にあると考えています。
40歳近くまでは、いわゆるオカルトやスピリチュアルな考えを完全に否定していました。
しかし、いろいろな不思議な体験をする中で、上記の考え方を持たざるを得なくなったのです。（振り返ってみると、子供の頃からいくつか不思議な体験をしていたのですが、その頃は特に気に留めていませんでした）
死後の世界について興味深い記事があります。
これは、当時現職だった東京大学医学部救急医療分野の教授であり、東大病院の集中治療部部長を兼務していた矢作直樹先生のインタビューです。
また、輪廻転生については、こちらの映画が興味深いです。
映画『かみさまとのやくそく ～胎内記憶を語る子どもたち～』予告編
余もこの映画を観ましたが、証明は難しいにせよ、人は輪廻転生していると考えたほうが自然だと感じます。
さて、上記2点の小生の恐れについて、エントリーを書きながら少し考えてみました。
1. 眼球を提供すると、死後の世界で目が見えなくなるのではないか？
いくつかのスピリチュアル系の本に目を通したところ、人は死後、肉体から魂が抜け、その魂はしばらくの間、家族や親しい人たちの周りにいるようです。（もちろん証明はできませんが）
その際には、すでに火葬が済んでおり、肉体は燃やされているはずですが、「目が見えない」や「焼かれて熱かった」といった不満を霊が訴えたという報告に接したことはありません。
また、四十九日の法要という伝統もあります
四十九日法要は仏教において大きな意味をもちます。
人は亡くなったあと7日毎に閻魔大王の裁きを受け、49日目に極楽浄土に行けるかどうかの判決が下されます。
そのため、遺族も7日毎に法要を行い、故人が極楽に行けるように供養します。
判決が下される日である四十九日は最も重要であるため、法要の規模も大きくなるのです。
（小さなお葬式より引用）
この伝に従うと、人は死後四十九日間は魂として残っているわけですが、それでも肉体的な痛みに対する不平不満の話は聞かないように思います。
こう考えると、死後に臓器を提供しても、霊となった後に不具が残ることはないのではないか、という結論に至りそうです。
2. 脳死と判定されても、実は反応できないだけで意識があり、臓器摘出時に猛烈な痛みを感じるのではないか？
臓器提供が可能なタイミングは、以下の2つです。
2-1. 脳死と判定されたとき
2-2. 心肺停止状態になったとき
（参考: 日本臓器移植ネットワーク ｜ 臓器提供について ｜ 臓器提供とは？）
日本臓器移植ネットワーク ｜ 臓器提供について ｜ 臓器提供とは？
さて、『ジョニーは戦場に行った』という小説（と映画）がありますが...
余も高校生の時に読んだきりなので、詳細はあまり覚えていませんが、ざっとこんな話です。
主人公のジョニーは戦場で負傷し、植物状態になります。意識ははっきりしているものの、自力で呼吸することも、体を動かすことも、話して意思を伝えることもできません。
彼は苦しみながら、心の中で「自分を早く殺してくれ」と訴え続けるという内容です。
こちらのPVであらすじは理解できると思います。
つまりは、脳死や心肺停止と診断されても、実際のところは意識があるのではないかという恐怖があるわけです。
一方で、こんな反論も自分の中にあります。小生はこれまでに2回、腰（腰椎椎間板ヘルニア）と喉（扁桃腺摘出）の手術を受けたことがあります。
いずれも全身麻酔を伴う手術でした。麻酔が点滴で注入されると、ものの3秒ほどで意識を失い、次に目が覚めた時は、手術が終わり、看護師さんに起こされた時でした。
手術中は一切痛みも感覚も記憶もなく、完全に意識を失っていたわけです。
これを考えると、脳死や心肺停止状態に至った段階で意識は完全に消えており、臓器を摘出されても痛みなどを感じることはないのではないか、とも思います。
先述の矢作先生のインタビューに基づけば、この時点で既に魂はほぼ、あるいは完全に抜けているのかもしれません。
また、千原ジュニアさんがバイク事故を起こした際、最後の記憶はタクシーとバイクが衝突し、自分が投げ出され、顔面がガードレールにぶつかる一瞬前の映像だったそうです。
次に目覚めた時はICU（集中治療室）で、事故後から手術までの記憶は一切なかったとのことです。
この例からも、極限状態においては、人間の意識は完全に失われているのかもしれません
。脳死や心肺停止状態のような極限状態では、意識や痛みといった感覚は既に失われていると考えるほうが自然に思えます。
そう考えると、2.の恐れもほぼ無いのかな、と感じます。
さて、先述の矢作直樹先生は、ご自身の死後、遺体を献体として提供する意思表示をされているそうです。
このエントリーを書きながら、自分も臓器提供や献体の意思表示をしておくべきではないかと考えが大きく動きました。
まだ決断したわけではありませんが、そう遠くないタイミングで意思表示をするのではないかと思います。
臓器提供の意思表示方法には、以下の手段があります。
a. インターネットによる意思登録
b. 健康保険証などの意思表示欄への記入（運転免許証やマイナンバーカードなどでも可能）
c. 意思表示カードへの記入
詳しくはこちらでご確認ください。
日本臓器移植ネットワーク ｜ 臓器提供について ｜ 意思表示の方法
臓器提供は本人、もしくは遺族の意志によるものであり、このエントリーを通して、読んでいただいた方々に何かを強制する意図は一切ありません。
あくまで、余が個人的にこう考えている、こう考えてみた、という内容です。
もし、この考えを通じて、皆さまが何かを感じていただければ、ささやかながら嬉しく思います。
余談ですが、小生は独身で子供もおりません。
個人的には、お葬式やお墓も必要ないと考えており、できるだけ手間やお金がかからない方法で、散骨などをしていただければと思っています。
公的なサービスに頼ることになるのでしょうか？
20240830追記
臓器提供の意思表示をいたしました。
改めて、様々なことを考えたメモを、以下のエントリーにまとめています。
