静岡県伊東市の田久保眞紀市長を巡る「学歴詐称」疑惑が波紋を広げています。広報資料や選挙公報で「東洋大学法学部卒業」と記載していたものの、実際は卒業しておらず「除籍」であったことが報じられ、市民からは不信の声が相次いでいます。
こうした中、「市民として市長に退任を求めたい」「リコールを実現したい」といった声も一部に広がっていますが、実はこのタイミングではリコール(解職請求)は法律上できません。
今回は、その理由と背景について、わかりやすく解説します。

■ 地方自治法に定められた“1年間のリコール禁止期間”
リコールは、地方自治体の首長(市長や知事など)に対して、住民が一定の手続きをもって解職を求める制度です。非常に強力な市民の権利ですが、地方自治法第84条では「就任から1年間はリコール請求を行えない」と明確に定められています。
この規定は、当選直後から不安定な状況に陥ることを避け、一定の期間は市政運営に専念できるよう保障する目的で設けられています。もちろん、選挙が無投票だった場合など一部例外もありますが、今回の伊東市長選挙では複数候補による選挙が行われており、例外には当てはまりません。
■ 田久保市長の就任日と現在の状況
田久保眞紀市長は、2025年5月29日に伊東市長に就任されました。つまり、この記事執筆時点(2025年8月)は就任からわずか2ヶ月ほどしか経過しておらず、法的にはリコールが認められない期間内にあたります。
したがって、どれだけ市民の間で不信感が高まっていたとしても、2026年5月28日まではリコールに向けた署名活動などは行えません。
■ 制度の背景を前向きに捉える視点も
この「1年間の禁止期間」は、一見すると市民の意思表示の妨げのようにも映りますが、見方を変えれば市政の安定や説明責任を果たす時間として捉えることができます。
リコールができないからこそ、今は市長に対して説明を求めたり、議会の動きを注視したり、百条委員会の設置などを通じて真相の解明を図ることが重要です。また、議会の辞職勧告決議や市民団体による抗議活動なども、間接的に市政への圧力となりえます。
■ では、リコールが可能になるのはいつ?
リコール請求が可能となるのは、2026年5月29日以降です。その時点で、市民が必要な署名数(伊東市では有権者の3分の1以上)を集めることができれば、住民投票に進み、市長の進退が直接問われることになります。
もちろん、その前に市長が辞職を選択したり、出直し選挙を行ったりする可能性もありますが、制度上、解職請求を発動するにはこの「1年ルール」を守らなければなりません。
■ まとめ
現在の法律では、田久保市長に対するリコール請求は、就任から1年が経過しない限り実行できません。しかし、これは市民の声が無意味ということではなく、今この時期こそ、情報の整理や説明責任の履行を市民の立場から求める大切な時間といえます。
焦らず、着実に、法に則った行動を積み重ねていくことが、市政の信頼を取り戻す第一歩ではないでしょうか。