【マンジャロの本当の問題】なぜ肥満治療薬をめぐる日本の基準は「欺瞞」に満ちているのか
皆様、こんにちは。
最近、世間では劇的な体重減少効果を持つとして「マンジャロ」という薬が大きな話題を呼んでいます。
しかし、実はマンジャロと有効成分が全く同一の「ゼップバウンド」という治療薬が、すでに肥満症治療で保険適用になっており、定期的な栄養指導などのガイドラインも確立されていることをご存じでしょうか。
これを聞くと、多くの人が「国が認めた正攻法のルートで、ついに肥満治療ができる時代が来た」と期待を抱くはずです。
ですが、ここに日本の肥満医療が抱える巨大な闇と本当の問題が隠されているのです。
現代社会におけるダイエットは完全に「無理ゲー」である
そもそも、現代において「自力で痩せる」というのは、個人の意志の強さだけで解決できるレベルをとうに超えています。
現代のダイエットは、生物学的な本能と社会構造に逆らう、完全に「無理ゲー」と呼べる過酷なものだからです。
私たちの身体は、人類の長い歴史の中で「飢餓に備えて脂肪を蓄えようとする本能」がDNAに刻み込まれています。
一方で、街を見渡せば安価で脳を強烈に刺激する高カロリーなジャンクフードがあふれ、デスクワークや移動手段の発達によって消費カロリーは劇的に減っています。
「本能は食べろと命じるのに、環境は太る罠だらけ」という絶望的な状況のなかで、過酷な食事制限や運動を一生継続するのは、人間の脳の仕組みとしてそもそも不可能な領域に達しているのです。
どれほど努力してもリバウンドを繰り返してしまうのは、意志が弱いからではなく、人間の生存本能が現代の環境にマッチしていないからに他なりません。
だからこそ、自分の意志とは関係なく食欲をコントロールしてくれる医学の力、つまり肥満治療薬の存在が絶対に不可欠なのです。
絶望的に高すぎる!ゼップバウンドの知られざる保険適用基準
それほど渇望されている治療薬であるにもかかわらず、ゼップバウンドの保険適用基準は、私たちが想像する以上に驚くほど厳しすぎるのが現実です。
ここで、実際に国が定めている具体的な保険適用の基準を見てみましょう。
ゼップバウンドが保険適用になるには、原則として以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。
* ① 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを合併し、かつ「BMIが27以上」であること
* ② 「BMIが35以上」の高度肥満症であること
この基準がいかに異常で厳しいか、具体的にお分かりいただけるでしょうか。
たとえば、身長170cmの人であれば、BMI35に達するには体重が「約101kg」も必要になります。
さらに、BMI27(身長170cmで約78kg)だったとしても、ただ太っているだけでは絶対にダメで、高血圧や糖尿病といった明確な生活習慣病の診断が下されていなければ保険は一切使えないのです。
つまり、「健康診断の数値が悪化する前に、肥満を予防・治療したい」という段階の人は、完全に門前払いされているのが実態です。
自由診療の限界と、マンジャロに走る必然
これほど基準が厳しければ、多くの人が「ならば自費の自由診療で処方してもらおう」と考えるのは当然です。
しかし、自由診療でゼップバウンドを使おうとすれば、全額自己負担のため薬価が驚くほど高額になり、毎月数万円もの大金を支払い続けなければなりません。
さらに追い打ちをかけるように、現在は世界的な需要爆発によって在庫が極めて不安定であり、お金を出しても手に入らないケースが多発しています。
このあまりにも冷酷な現実を知った人が、なんとかして手に入れたいと、全く同じ成分でありながら糖尿病治療薬として流通している「マンジャロ」の適応外処方に走ってしまうのは、ある意味で当然の帰結と言えるでしょう。
国が設定した厳しすぎる基準が、結果として現場の混乱とマンジャロへの流入を引き起こしているのです。
日本の肥満基準「BMI25以上」という巨大な欺瞞
仮に今後、マンジャロが正式に肥満治療として保険適用されたとしても、現在の流れを見る限り、ゼップバウンドと同程度の厳しい基準が設けられることは容易に想像がつきます。
ここに、日本の医療制度に対する大きな怒りと疑問が浮かび上がります。
そもそも、日本肥満学会が定めている医学的な肥満の基準は「BMI25以上」と明確に定められているのです。
それにもかかわらず、治療薬の保険適用基準だけが「BMI27以上+病気あり」や「BMI35以上」と、そこからかけ離れて高く設定されているのは、はっきり言って国民に対する「欺瞞」と考えます。
医学的に「あなたは肥満という病気(状態)です」と定義しておきながら、「でも国の保険では治療させません、もっと重症化するまで待ってください」と突っぱねる国の方針は、あまりにも不誠実ではないでしょうか。
本当に国民の健康を根本から救い、将来的な医療費増大を防ぐ気があるのなら、絶対に「BMI25以上」から一律で保険適用とすべしだと強く主張いたします。
あれこれと回りくどい新しい薬の承認議論でお茶を濁すのではなく、現在あるゼップバウンドの保険適用基準を大幅に緩和することこそが、一番筋が良く、今すぐ多くの人を救う唯一の道だと確信しています。
参考となるWeb記事(URL)
本記事の内容を裏付ける、あるいは補足するための情報をいくつかご紹介いたします。
日本肥満学会(JASSO)の肥満基準に関する公式ページです。
http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medical_01.pdf
厚生労働省による、肥満症治療薬などの承認情報やガイドラインが確認できるページです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/gyousei/index.html
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療用医薬品情報検索ページです。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
皆様は、このいびつな医療制度の現状と厳しい基準について、どのようにお考えでしょうか。
ぜひ一緒に、より良い医療と健康のあり方について考えていきましょう。